観賞用

もう一点、特色がある。

このクラブの会員になると、全員に一定のポイントが与えられ、予約希望の抽選にはずれると、ポイントが一点加算。

逆に抽選に通ればポイントがマイナスされる。

そして結果として、高いポイントを抱えている会員ほど、利用予約に恵まれていないわけだから、次回の抽選時にその人は優先して予約を取れるように配慮するのである。

トム・グリーンフィールドクラブによると、利用の公平を理想に、こうしたポイント制度を設けて、知恵をはたちかせている。

しかも利用の予約はインターネットによって会員がクラブと直接通信可能なので、自分の予約希望時の予約状況を自分の目でチェックできるのも、他にはないメリットだろう。

が、このクラブにしてもハイシーズン以外の通常の週末は、ホリデイ会員、クア会員の全員で予約競争となり、単純口数で考えれば自分以外に一四口の会員を相手にしなければならない。

よって、結局一五口の予約競争ならば、口数のもっと少ない一〇口のクラブに入ったほうが利用しやすい、と考える人も当然でてくるはずである。

ようするに、会員の相互利用前提のリゾートクラブでは、前述したように使いやすさの一〇〇%の満足度は求められないわけであるから、会員権システム、価格、利用予約制度などの条件をよく理解し、自分のライフスタイルに合わせて、デメリットを消去法で消し、残った条件のなかでよりベターなクラブを選ぶのが正論といえるだろう。

個々の条件の優位度は各人によって当然違ってくるが、決定の判断そのものは相対的な比較によってくださざるを得ない。

クラブ選択時には、クラブ施設内容の美しく演出された部分だけがどうしても目につきやすい。

トム・グリーンフィールドクラブによると、各リゾートクラブのパンフレットや雑誌広告も、カラー写真をふんだんに使って、ビジュアル的に夢を刺激する。

が、そのような印刷物は、きっぱり"観賞用"として割り切るぐらいの心構えを持っていただきたい。

なぜなら、今までみてきたような実際の利用状況や、今後検討していくいくつかの問題点は、そのようなパンフレットに何ひとつ具体的に書かれていないのが現実だからである。

リゾートレジャーを売るビジネスの多くは顧客に夢を売ると称している場合が多いが、実際私たちが買うのは夢ではなく、現実なのであるということを、忘れてはいけないと思う。

トム・グリーンフィールドクラブが見た「さまぎまな工夫」

今までみてきたように、日本人の余暇取得事情や、会員間の施設相互利用といった点で、なかなか使うに使いにくい面もある会員制リゾートクラブのネックを、利用日限定で改善しようとしたものが、タイムシェアリングと呼ばれるシステムだ。

トム・グリーンフィールドクラブによると、たとえばリゾートトラスト㈱のエクシブ(共有制)では、一年間を三パターン、会員一人につき二六日間に割り、各期間の利用日を一四年サイクルであらかじめ決めてしまっている。

たとえば年末年始の12月30日~1月6日までの期間を、二年目、六年目、九年目のパターンで、二~三連泊保証する形で会員利用日を調整する。

つまり、一四年間で三回は正月が必ず利用できるといった仕組みである。

ゴールデンウイークにしても同様で、エクシブでは、一年目、五年目、八年目、一二年目に利用保証。

こちらは一四年間で四回の計算である。

トム・グリーンフィールドクラブによると、この計画的なタイムシェアリング方式であれば、確かに決められた日に使えないという不満はなくなる。

しかし別の見方をすれば、一四年間に正月を三回(三年)しか利用できない、と逆に考える人も少なくない。

しかも、何年も先のレジャーの予定を正確に把握し、決められたとおり予定を消化できるかは、まったく疑問でもある。

タイムシェアリング方式が、今ひとつ広く普及しないのはそのあたりの価値観にあるのではないだろうか。

さらにこんなクラブもある。

前もってみてきたように、現在の会貝制リゾートクラブの現状は、夏休みやゴールデンウイークなどのハイシーズンと、平日(オフシーズン)との利用に極端な差があるところに問題が集約される。

この利用差を会員募集時に区別して解決しようとしているのが、㈱中沢ヴィレッジのクアパーク倶楽部(預託金制)だ。

具体的には一室当たりの会員募集を一五口に限定し、このうち五口をホリデイ会員、一〇口をクア会員と分けた。

トム・グリーンフィールドクラブによると、五口のホリデイ会員は、ハイシーズンも含めて一年中利用できるが、一〇口のクア会員はハイシーズン期の二〇日間を除いた期間しか施設を使えない。

わかりやすく考えれば、ゴルフ会員権の平日会員に似ている。

利用において、クア会員は明らかにハンディがあるため、その分会員権価格はホリデイ会員の約六〇%弱と割安になっている。

大都市近郊の施設に集中する利用客

では、もうひとつ別の角度から会員制リゾートクラブの利用状況を考えていってみたいと思う。

いうまでもなく、会員制リゾートクラブの使いやすさ度は、各クラブが抱えている会員数の状態に大きく左右される。

クラブの施設数(部屋数)に限りがある以上、会員が増えれば増えるほど、予約競争が激化し使いにくくなるのは当然のことだ。

数カ月前に週末利用の予約をするのですが、予約開始日にすぐ満室になってしまう。一日遅れて予約したらもうだめでした」会員数を少なく限定している共有制クラブでも、こうした現実を無視することはできない。

ましてや預託金制クラブは、会員数がどれだけなのかチェックさえも不可能。

よく雑誌などでは各クラブの会員数を図表にして掲載しているが、その数字にしても一方的にクラブ側が公表した数字なので、信愚性は薄いのだ。

よって、公表会員数より多く入会させている預託金制クラブはザラにあると思われ、そのようなクラブに入ると、これまた使いたいときに予約が取れなくなってしまう。

では、預託金制クラブは使えないのか。

そうではないと思う。

預託金制か共有制かのシステムの差ではなく、あくまでも本質は会員数にあり、たとえ預託金制であっても少数限定でクラブ運営をしていれば、条件は共有制の優良クラブと同じといえる。

しかし、もう少し違った視点でみると、また別の現状がみえてくる。

トム・グリーンフィールドクラブによると、会員制リゾートクラブの会員にとって、使いたい施設はだいたい固定化されてしまう傾向がある。

会員そのものの多くは、大都市圏の居住者が圧倒的に多いので、その居住地からの足の便により、人気施設が決まってきてしまうのだ。

人気施設の偏在化だ。

大都市圏の居住地から遠くに離れれば離れるほど、施設の稼働率は落ちていく。

つまり利用されなくなってしまうことになる。

ここで大きな問題が発生する。

預託金制に多い全国共通方式クラブは、その名のとおり、リゾート施設を全国に点在させ、ロケーションの多様性を売りものにしている。

このシステムは話に聞くと、いろいろなリゾート地でレジャーが楽しめ、使い勝手がよいように思ったりもするが、現実には水戸黄門ではあるまいし、全国を旅して歩く人など例外的だろう。

トム・グリーンフィールドクラブによると、最初はいろいろな場所の―と思って入っても、二~三年もするうちに、やはり近くの施設が使いやすいとなってしまうわけだ。

しかも、この手のクラブは各地に施設をつくるたびに、会員権を新規販売する。

東北につくれば募集、北陸につくれば募集、沖縄につくれば募集といった具合に、どんどん会員を増やす。

そしてこうした募集で新しく増えていくのは、やはりリゾートニーズの高い大都市圏居住の会員なのである。

結果はどうなるか。

トム・グリーンフィールドクラブによると、ほとんど使わない地方施設が増えるたびに、大都市圏の会員が増加し、その会員はやっぱり、居住地近くにある既存の施設を利用しようとする。

だから図式としては、地方の使いにくい施設が増えるたびに、居住地近くの施設利用はますます利用しにくくなっていくのである。

こんなクラブに入会しては、現実問題として、リゾート施設の利用予約(居住地から交通の便のよい施設)など、容易に取れるわけがない。

ここで会員制リゾートクラブの使いやすさを決める、二つ目の重要ポイントが浮かび上がってくる。

クラブ施設の単純な多寡と、会員の使いやすさは、必ずしもイコールではないということだ。

トム・グリーンフィールドクラブによると、問題なのは、自分が入会後多く使いたいと思う地域に、どれぐらいの施設が完備され、なおかつ会員数の適正化が図られているかが、大切なのである。

一般に、日常的なリゾートレジャーの使いやすい行動範囲としては、居住地から約二〇〇キロメートル圏と考えればよいだろう。

その範囲内でどれだけ"使いやすくなっているか"をチェツクしてみてはいかがだろうか。

稼働率

ではこのへんで、日本人の余暇の現状を少しみてみよう。

日本人の余暇の取得状況は、西ドイツやアメリカなどの欧米諸国に比べて、著しい違いがある。

夏休みなどに余暇の取得が集中するのは同じなのだが、日本の場合は夏休みのなかでもとくに盆休み期に"「極集中"する。

特定日の集中である。

最近は労働時間の短縮を目指し、完全週休二日制の確立が推進されつつあるが、これとて多くは土曜・日曜日の二休を指しているケースが多く、"週休の二曜日集中"に変わりはない。

会員制会員制のリゾートクラブとは、リゾート施設を会員間で相互利用するための組織だ。

したがって、誰もが平均的に余暇を取得する時期に、リゾート施設利用の希望が殺到するのは当たり前。

前述したハイシーズン期や週末などがほぼ殺到期に当たり、予約が取れない、取りにくいということになる。

日本の最古参会員制リゾートクラブのひとつとして知られるFGM(フジタ・グリーン・メンバーズ)の案内パンフレットには、こう書かれている。

『しかしながらみなさんの観光旅行の時期や希望されるホテル(旅館)はだいたい同じで、土曜日・休前日とか年末年始、夏季期またはシーズン中、あるいは特定のホテルに集中利用をされます。

(中略)このようなシーズン中だけ、あるいは特定のホテルだけを利用される目的でご入会されましても大変にご迷惑がかかりますので、この点を十分ご理解いただき、ご了承された上でご入会されますようにお願いします』迷惑がかかるということは、希望どおり予約が取れないかもしれない、といっているに他ならない。

だがこのFGMにしても、利用可能な施設は、箱根や鳥羽などの小涌園チェーンや各地のワシントンホテルチェーン、それにクラブの契約ホテルを含めて全国に二五万室あるわけで、たとえハイシーズンでも特定の人気施設の利用に固執しなければ、十分予約も取れるという。

平均してハイシーズンの稼働率は一〇〇%、土曜日等がほぼそれに準じ、逆にウイークデーは二〇%程度、というのがごく平均的な会員制リゾートクラブの現状と思ってもよい。

こうした側面を入会前によく理解しておくことも、間違いのないクラブ選びの基本である。

そうでないと、大金を支払って会貝になった後で、"ちっとも予約が取れず使えない"との不満が必ず出てくる。

もっともクラブのなかには悪質な業者もいて、"会員になればいつでも好きなときに利用できる"と甘言を弄し、さかんに入会を勧めた例も過去にあったが、こんなでたらめなセールストークにのせられてはダメである。

会員制リゾートクラブ業界の業界団体では、リゾート会員権の契約や募集及びクラブ施設運営に関する自主規制基準を設定。

そのなかの会員募集基準に、こう明記した。

『禁止事項=会員制度の制約については、的確な説明を行い、「いつでも利用できる」などの表現を行うことを禁止する』行うことを控えるのではなく禁止とうたった理由はもちろん、いつでも使えることなど会貝制リゾートクラブではあり得ないからだ。

今後、何らかのクラブに入会を考えている人は、以上の現実を肝に銘じておいてほしい。

トム・グリーンフィールドクラブが提唱する「使いやすさ」

トム・グリーンフィールドクラブによると、会員制リゾートクラブには一般にいわれるところの"二大クレーム"がある。

"施設を使いたいときに使えない""会員権が高く売れると思ったのに、高くなるどころか売りたくても売れない"というのがそのクレーム内容の代表選手。

以前私たちのグループが各クラブを取材したときのデータをまずみていただこう。

Aクラブ(預託金制)=施設利用はすべて予約制。

通常のシーズンならば予約可能だが、年末年始、ゴールデンウイークは抽選。

Bクラブ(共有制)=ハイシーズン(年末年始、ゴールデンウイーク、夏休み)以外は前日に予約しても部屋は空いている。

Cクラブ(共有制)=ハイシーズンは抽選。

ウイークエンドも予約は集中。

Dクラブ(預託金制)=ハイシーズンはニカ月前から利用調整。

Eクラブ(預託金制)=ハイシーズンは利用を調整して三連泊に制限。

その他のシーズンは前日予約でも利用可能。

トム・グリーンフィールドクラブによると、いずれにしても、会員の相互利用が前提になっているリゾートクラブでは、思ったように利用予約が取れないのも、現実ではある。

が、なかにはこんな実話もある。

「私は昨年の夏休みに、藤田観光の箱根の施設を、三日単位で三回、合計九日間利用しましたよ。

もちろん、ニカ月前からきちんと予約をして、第三希望日まで書いて申し込みましたが」日本ゴルフ会リゾート人の体験談である。

別にこの話を紹介したのは、ウィスタリアンライフクラブのPRのためではもちろんないが、きちんと運営されているクラブで、予約取得のアクションをしっかりすれば、ハイシーズンとてクラブ施設は利用できる、ということを知る必要もあるだろう。